世界最大の野生植物の宝庫である世界遺産に指定されている「英国王立植物園・キューガーデン」
1759年、リッチモンド宮殿の付属施設として造られたヴィクトリア朝の栄光を刻む植物園です。敷地面積120万㎡、とにかく広い!
世界で最も権威のある植物の研究機関でもありシード・バンク(種子の遺伝子保全)などで地球規模での環境保護の最前線を担い、600万種以上の植物標本が管理され、地球上に存在する花を咲かせる植物の約10分の1以上が集められている場所らしいです。
入場料を払い地図をもらい順路の1についたところで最短距離で見たい場所だけにしないと時間も体力も足りない広さだと気がつく。こんないい天気の暑さで全部を歩き回ったら閉館時間に戻ってこない迷惑な遭難者になるに違いないと即座に方向転換(笑) 1日かけてのんびりゆっくり植物を観覧しながら森林浴に来るならぴったりな場所。
というわけで、気になる見所ポイントだけに絞ってやって来たのが地図上では一番大きな建物だったテンペレートハウス・Temperate Hous (温帯館)1860年に建てられた典型的なヴィクトリア時代のガラスの温室。面積が4880㎡(ボーイング旅客機が3機入る大きさらしい)
ユネスコ世界遺産に登録されているこの温室を5年かけ修築工事を行いリニューアルしたてのタイミングに、どうやら運良く訪問したみたい。ということを帰りの電車のなかでパンフレットに目を通してから知る。ゆえに全景の写真がありません。
The Shirley Sherwood Gallery Botanical Art 素敵なボタニカルアートがいっぱい。日本画の細部を見せない和の感性も素晴らしいけれど、細部まで描き尽くす洋の感性のボタニカル画もやはり美しい。こんなのを描いてみたい。
個人的に、興味深かったのがマリアンノース美術館・MarianneNorthGallery画家であり博物学者でもあった彼女が描いた世界各地の花の絵や風景の絵が800点以上展示されています。なかなか圧巻でした。
ドイツの学生時代に各国の庭園様式の授業もあったので、イングリッシュガーデンとは? も学びましたが机上の空論ですね。模倣の庭も日本にも沢山ありますがどれもピンとこないというのか、無造作でボサボサなだけではと実は思っていた。失礼失礼。今回イギリスで本物の「イングリッシュガーデン」を見て納得&感心しました。
ヨリの写真だと全体像が映らず、ヒキの写真だと全体すぎて雑草ぽく映ってしまうので、実際に見ないと伝わらないのが歯がゆい。
自然に任せているかに見せて実は計算されつくされたおそらく一番難しいお庭。様式にはめ込むわけでなく、切り込んで形を整えるわけでもなく、無造作に生えている自然の風景のようでストラクチャーのバランスと色彩が計算されている、自然の本質的な植物の美を追求したお庭。それぞれの草花の植生を理解していなければ造れないはず。中途半端に真似するとボサボサにしかならないのがよくわかる。
「すっぴん」にしか見えないように作り込んだ「ナチュラルメイク」が一番難易度が高いといえばわかっていただける?
アヒルの一家がお喋りしながら後をついて来た♪ かわいい。
あっという間に閉園時間。最短距離で動いたつもりだけど最初の計画ノルマは達成できず。まあ、のんびりしに来るところだと思うのでこれでよし。
仕事柄、世界遺産の植物園は見ておかなければと義務的な要素もあって来てみたキューガーデンでしたが、植物園に勉強に来たというよりは森林浴なピクニックな場所でした。それとも普通は植物園ってそういうものなの?
外国の植物園に来る前に近くにある日本の植物園から先に行くべきではないのかと感じたロンドンからの第七報でした♪
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